認可保育園/認証保育園

会社を辞めるという決断をした時、つくづく、娘が通っている保育園が、たまたま認証保育園で良かったと思った。

認可保育園は、働かなくなったら退園しないといけないが、認証保育園は親の就労状況は関係なく、お金さえ払えば通えるからだ。

自分が外資系に勤めていたこともあって、いつクビになるかもしれないし、と思って、認可への転園は止めておこうと思った。

結局、クビになる前に自分から辞めることになろうとは全く想像していなかったけど。

自分のこれまでの勤め人生を振り返って、休んだ方が良いと思ったから、仕事を辞める。そして少し冷静に色んなことを考えて、自分の好きなことをして、自分の道を探そうと思ったから、仕事を辞める。

人生に、そういう時期があったって、絶対に良い。

だけど仕事を辞めるという決断をした瞬間に、保育園を追い出され、有無を言わせずその時間を子育てに充てろ、という今の東京の図式は、母親が人生の選択肢を様々に持ちたい、という自由を奪っていると思う。

子どもがいたら、掃除さえ満足にできないのに。

これは子どもがいない人にはわからないことなのかもしれない。一人で遊べない年齢の子どもは親から離れず、一緒に遊ぶ。片づけをしたそばから散らかす。子どもがいる間、自分の時間はまず取れないのだ。

また、認証保育園を退園する必要はないものの、現在は認証保育園と認可保育園の保育料の差額は補助金という形で補填されているんだけれど、働かなくなることで「保育の必要性の認定」から外れ、その補助金はもらえなくなる。

収入なくなるのに、保育料の負担は増える、という矛盾。

そして自分が妊娠中に行った保活。

大きなお腹を抱え、保育園の入園申込をするために真冬の朝、長蛇の列に並び、整理券をもらうというおかしな話。中には生まれたばかりの子どもを抱えて並んでいるママもいた。

電車では席を譲るのがマナーだとされているのに、妊婦や小さな子どもをこの寒空の下、何十分も待たせる。

その保育園には、日々の保育があるわけで、この入園申込の対応に人や時間を新たに割けるわけはない。

だからこの保育園の運営の仕方どうこうというよりはこんな事態になっている今の東京の保育園の在り方そのものの問題。

認可保育園は当たり前のように全部だめで、区内の申し込める全ての認証保育園・認可外保育園に申し込むため、申し込める全ての園を回って申込をして、結局2つの認証保育園から内定をもらってようやく入園できた。

この経験で、若干保活アレルギーになったことも、認可保育園への転園を考えなかった理由の1つかもしれない。

私と同じ杉並区で、この保育園の問題について「一揆」を起こしたママもいたそう。

でも、まだまだ全然。

「認可保育園を増やそう!」とか街頭で叫んでいる政治家の卵の方もいるけど、浅はかだな、と思わずにいられない。

問題は、もっともっと複雑で、深い。